ドローンの飛行許可・承認申請手続きが簡素化されました。一方で「申請者が用意し具備する資料」を作成しておかなければなりません。申請手続きの簡素化と、添付を省略した資料の具備についてご説明いたします。

本当に申請が簡素化?改正のポイントをひもときます

2025年2月25日付で「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」が改正されました。また、それを踏まえて改修されたDIPS2.0が同年3月24日から運用開始となりました。

この改正および改修は、申請手続き内容の簡素化と審査の迅速化が目的とされています。

政府の規制改革推進会議答申にも明記された

この改正と改修については、2024年5月の規制改革推進会議答申にも明記されました。答申の該当箇所をご紹介します。

ドローンの利用者が行う飛行申請に対する航空局の許可・承認手続期間について1日を目指すとともに、型式認証取得機増加により許可・承認手続を不要化する。

ドローンに係る各種申請・審査の効率化・迅速化及び利用者の利便性向上のため、ドローン使用事業者の意見を踏まえつつ、国土交通省が運営する「ドローン情報基盤システム」につき、システム全体の改修を利用者視点に立って行う。あわせて、国土交通省の審査業務等の効率化、円滑化及び迅速化等の観点から、定型的業務の外部委託を行うことも含めて検討を行う。

出典:規制改革推進に関する答申 ~利用者起点の社会変革~(令和6年5月31日 規制改革推進会議)より抜粋

簡素化になったのは何?

それでは、申請手続きの簡素化について見ていきます。

飛行許可申請では、飛行の目的や理由のほか、「機体」「操縦者」「安全体制」について基準に適合しているかが審査されます。
「機体」と「操縦者」については、基本基準・追加基準に適合していることを説明し、それを確認できる資料・写真を添付する必要がありました。

改正後は、この基本基準・追加基準への適合性について、申請者自らが確認することとされました。これにより、適合していることの説明は簡略化され、確認のための資料や写真の添付も不要となりました。

DIPS2.0ではどう変わった?

DIPS2.0の仕様変更では、適合していることの説明が「適・否」での選択形式になりました。「否」の場合は、代替する安全対策を回答欄から選択するか、自ら記載する必要があります。

また、適合性を確認するための資料や写真の添付が省略されました。これまで必要だった機体や操縦装置の写真、取扱説明書などは、提出が不要になったのです。

  • 無人航空機および操縦装置の仕様が分かる写真など 添付不要
  • 運用限界および飛行方法について取扱説明書の該当部分 添付不要
  • DID、自動操縦飛行に対する追加基準を満たす機能・装備  説明は原則「適・否」で選択、写真は不要
  • 過去の飛行実績・訓練実績 「適・否」で代替させ、実績数の記載は不要

ドローン申請は簡単になったのか?いいえ、そうでもないことも

基本基準・追加基準への適合性については、申請者自らが確認することとされ、説明方法が簡略化されました。また、資料などの添付も省略されています。

一方で審査要領では、申請書の記載事項や基準への適合状況を確認した際の資料を提出、または説明を求められる場合があることも明記されています。

許可等を行った飛行について、飛行実績の報告並びに2-2に示す申請書記載事項及び5.に掲げる基準への適合状況の確認に係る資料の提出又は説明を求めることができるものとする。

出典:無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)抜粋

そのため、添付が不要となった資料についても、申請者にて用意し具備することが必要となっています。したがって、用意するものは改正前のものと変わりがないと言えます。

具備しないとどうなる?

申請者が用意・具備すべきとされている資料を、作成していない、あるいは備えていない場合は、どうなるのでしょうか。
この点について、国土交通省が公表している資料には、以下のような記載があります。

※当局から別途提出を求める可能性があります。その際は速やかにご提示ください。
※基準に適合していないことや資料が具備されていないことが確認された場合、許可・承認を取り消す可能性がございます。

守らないと取り消しがあり得るとの注意喚起です。

出典:国土交通省 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)改正について

具備する資料に様式なし どうしたらいい?

省略された資料を具備する必要があるとして、それをどのようなフォーマットで作成すればよいのでしょうか。
実は、審査要領では具備する資料の様式が定められておらず、任意に作成する必要があります。とはいえ、過去に存在していた資料の形式を応用することが可能です。

DIPS2.0による申請では、システムの画面に沿って順番に入力を進めていく形式です。様式を意識しなくても申請は可能ですが、「申請する」のボタンを押す画面では、申請書の様式が自動的に形成されています。

この申請書様式は審査要領にも定められており、国土交通省のウェブサイトにも「無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書(様式)[カテゴリーⅡ飛行]」として掲載されています。これは主に、郵送や電子メールによる申請用です。

現在掲載されている様式は、改正後のものに更新されているため、直接の使用はできません。しかし、改正前の様式に含まれていた「(参考様式)別添資料を活用することで、省略された内容を添付・説明することができます。
もともとこの別添資料は、今回省略対象となった情報を記載するための様式でした。過去の運用を踏まえれば、現在の状況でも十分に応用可能です。

旧申請書(参考様式)別添資料
旧申請書(参考様式)別添資料
旧申請書(参考様式)別添資料
旧申請書(参考様式)別添資料記載例

これは、旧申請書様式の「(参考様式)別添資料」の一部です。これを活用することで、具備すべき資料をほぼ網羅して作成することができます。
ご不明な点や、入手方法についてご不安なことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

様式はわかった でも入力はどうする?

改正前の審査では、地方航空局や空港事務所の審査官から補正指示を受け、それに応じて申請内容を修正することで、許可・承認に至るという流れが一般的でした。

しかし、簡略化が導入されてからは、基本的に「適・否」などの選択式で申請を進める仕組みになり、不備の指摘が入る機会は減少しています。
また、申請者が適切な選択肢を選びやすいよう、システム上の配慮もなされていると考えられます。ただし、誤った選択が完全になくなるわけではありませんので、注意が必要です。

そして今、より重要になるのが「申請者自身が用意し、具備しておく資料の中身」です。
申請時に選択した内容が、実際の資料に正しく反映されていなければなりません。以前であれば、誤りがあっても審査官から補正指示を受けることができましたが、現在はそうした機会がほとんどありません。

その結果、許可・承認の取得後に資料の提出を求められた際に、「基準に適合していない」「申請内容が誤っていた」と発覚するケースも考えられます。

不明な点がある場合は、これまでこの申請に携わってきた経験豊富な専門家に相談することを強くお勧めします。

専門知識でサポート、初回ご相談は無料

ドローンの飛行許可申請、機体登録の更新、登録講習機関の登録に関するお悩みやご依頼は、下記の連絡先までお気軽にお問い合わせください。当事務所が許可申請・登録を代行して、ドローン業務をサポートいたします。

お気軽にお問い合わせください

営業時間 10:00-18:00

お気軽にお問い合わせください

   営業時間 10:00-18:00

このサイトでは他にも様々なページを用意しておりますので、どうぞご覧ください。

このウェブサイトに掲載している情報の正確性には細心の注意を払っております。しかしながら法令解釈や制度改正等で不正確な表記を含む場合があり得ます。掲載情報を用いた行為によって生じた損害には一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

改正