この記事は、「無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準」のパブコメ(意見公募)期間中の2023年7月10日に公開した記事ですが、同基準制定後にデータ・文言等を追記・修正して2025年9月1日に再度公開しました。

無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準の制定

国土交通省は、ドローン操縦者技能証明の効力取消等の行政処分の基準を定める通達を公表しています。

行政処分・行政指導内容及び判断の仕組みは次のとおりです。

行政処分・行政指導の全体構成

1.処分事由に対応する点数を基本にして、以下の処分または指導

  • 口頭注意
  • 文書警告
  • 技能証明効力停止3月
  • 同 6月
  • 同 1年
  • 技能証明効力取消

2.複数の処分事由に該当する場合 … 対応する点数を合計

3.個別事情がある場合 … 点数を加重または軽減

4.第三者の死亡、重症または複数の第三者の負傷の結果が生じた場合 … 点数に関わらず取消または停止処分ができる。

処分事由ごとの点数は次のとおりです。

既に記載しましたとおり、複数の処分事由に該当する場合は、合計の点数となります。

処分事由点数
1事故が発生した場合に危険防止措置を講じない15
2アルコール・薬物の影響下での飛行15
3飛行計画の変更指示に従わない飛行15
4限定をされた技能証明を受けた者による限定外の種類・方法での特定飛行14
5条件付きの技能証明を受けた者による条件の範囲外での特定飛行14
6飛行前確認・衝突予防措置を行わないこと14
7他人に迷惑を及ぼすような方法での公共の場所の上空での飛行14
8承認を受けずに行う夜間・目視外・30m未満・催し上空飛行14
9承認を受けずに行う危険物輸送14
10承認を受けずに行う物件投下14
11飛行の方法について承認外での飛行14
12夜間・目視外・30m未満飛行において安全確保措置を講じないこと14
13機体認証において指定された使用の条件の範囲を超えた特定飛行13
14整備命令に違反した特定飛行13
15無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為12
16飛行禁止空域での飛行等11
17飛行計画を通報しない特定飛行10
18機体登録を受けていない機体の供用8
19登録無人航空機の是正命令に違反した機体の供用8
20航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を事前に通報しない又は虚偽の通報を行うこと7
21事故発生時の報告をしない又は虚偽の報告を行うこと6
22特定飛行を行う場合に飛行日誌を備えないこと6
23特定飛行について飛行日誌の不記載・虚偽記載6
24立入検査の拒否等6
25特定飛行時に第三者が立ち入った場合に必要な措置を講じないこと3
26登録記号の表示その他の登録記号を識別するための措置を講じていない登録無人航空機の供用1
27機体認証を受けずに法第132条の13第8項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと1
28型式認証を受けずに法第132条の19第2項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと1
29技能証明書不携帯での特定飛行1
30登録事項の変更の届出を行わない又は虚偽の届出を行うこと1
31登録の抹消申請を行わないこと1
32飛行に当たり非行又は重大な過失があったとき1~10

※制定にあたっては、パブコメ時点のものから点数を減じたものがあります。13番(15点→13点)、16番(14点→11点)、17番(14点→10点)です。

点数に基づく処分等の区分は以下のとおりです。

15点以上の場合は、技能証明の効力が取り消されてしまいます。

点数処分等区分表
1~2口頭注意
3~5文書警告
6~8技能証明の効力の停止3月
9~11技能証明の効力の停止6月
12~14技能証明の効力の停止1年
15~技能証明の効力の取消

処分事由ごとの点数一覧と照らし合わせてご覧いただきますと、無人航空機にかかるルールをうっかり失念すると効力停止になり得ることが多々あります。
例えば、特定飛行の際に飛行日誌を備えていないと、技能証明の効力の停止3月に該当します。

なお、技能証明の取消処分を受けた場合は、取り消された日から2年間は技能証明の取得申請を行えません。

参考まで、点数と罰則を併記してみます。

行政処分と罰則とで軽重のずれがあります。「飛行計画の変更指示に従わない飛行」にも罰則はありますが、行政処分では一発で技能証明の取消(15点)となりますので注意が必要です。

  処分事由点数罰則
1事故が発生した場合に危険防止措置を講じない152年以下の懲役又は100万円以下の罰金
2アルコール・薬物の影響下での飛行151年以下の懲役又は30万円以下の罰金
3飛行計画の変更指示に従わない飛行1530万円以下の罰金
4限定をされた技能証明を受けた者による限定外の種類・方法での特定飛行1450万円以下の罰金
5条件付きの技能証明を受けた者による条件の範囲外での特定飛行1450万円以下の罰金
6飛行前確認・衝突予防措置を行わないこと1450万円以下の罰金
7他人に迷惑を及ぼすような方法での公共の場所の上空での飛行1450万円以下の罰金
8承認を受けずに行う夜間・目視外・30m未満・催し上空飛行1450万円以下の罰金
9承認を受けずに行う危険物輸送1450万円以下の罰金
10承認を受けずに行う物件投下1450万円以下の罰金
11飛行の方法について承認外での飛行1450万円以下の罰金
12夜間・目視外・30m未満飛行において安全確保措置を講じないこと1450万円以下の罰金
13機体認証において指定された使用の条件の範囲を超えた特定飛行1350万円以下の罰金
14整備命令に違反した特定飛行1350万円以下の罰金
15無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為1230万円以下の罰金
16飛行禁止空域での飛行等1150万円以下の罰金
17飛行計画を通報しない特定飛行1030万円以下の罰金
18機体登録を受けていない機体の供用81年以下の懲役又は50万円以下の罰金
19登録無人航空機の是正命令に違反した機体の供用850万円以下の罰金
20航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を事前に通報しない又は虚偽の通報を行うこと730万円以下の過料
21事故発生時の報告をしない又は虚偽の報告を行うこと630万円以下の罰金
22特定飛行を行う場合に飛行日誌を備えないこと610万円以下の罰金
23特定飛行について飛行日誌の不記載・虚偽記載610万円以下の罰金
24立入検査の拒否等6100万円以下の罰金
25特定飛行時に第三者が立ち入った場合に必要な措置を講じないこと350万円以下の罰金
26登録記号の表示その他登録記号を識別するための措置を講じていない登録無人航空機の供用150万円以下の罰金
27機体認証を受けずに法第132条の13第8項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと130万円以下の罰金
28型式認証を受けずに法第132条の19第2項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと130万円以下の罰金
29技能証明書不携帯での特定飛行110万円以下の罰金
30登録事項の変更の届出を行わない又は虚偽の届出を行うこと130万円以下の過料
31登録の抹消申請を行わないこと130万円以下の過料
32飛行に当たり非行又は重大な過失があったとき1~10

なお、技能証明を受けていない方は、本基準にかかる処分の対象には該当しません。
しかしながら、技能証明によらない許可・承認による飛行において法違反等を行った場合についても、行政処分の対象となる可能性があることは、国土交通省がパブコメの結果公表において説明しています。
こちらも注意が必要です。

参考:e-gov パブリック・コメント -「無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準」の制定(案)に関する意見募集の結果について

専門知識でドローン飛行許可をサポート

ドローンの飛行許可申請に関するご依頼は、お気軽にお問い合わせください。
プロフェッショナルな行政書士がお手続きを代行しスムーズに許可を取得。そしてドローン飛行を法的にサポートいたします。

事務所概要や営業時間、代表プロフィールは「事務所の概要」をご覧ください。

技能証明の取消等の処分