「学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数 の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。」
この文言が、包括飛行許可承認申請で使用する標準マニュアル02にはあります。更にただし書きもありますので、これらについてお話しします。
飛行マニュアルに記載されている「学校、病院~」
禁止だが、「学校、病院など、当該施設から飛行の依頼があった場合」は例外
標準マニュアル02に記載されている「学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数 の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。」の箇所は以下のとおりです。
第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数 の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。
ただし、当該施設から飛行の依頼があった場合は、休校日、休診日、早朝など第三者が往来する可能性が低い時間帯とし、飛行経路を当該施設内に限定した上で、一定の広さのある場所を飛行させるものとする。また、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止するほか、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
ただし書きが付いています。「当該施設から飛行の依頼があった場合は、~(中略)~飛行させるものとする。」となっており、一定の条件の下では飛行できることとなります。これはレベル4と呼ばれる飛行とは違い、第三者の上空を飛行させてはならず、そのため立入管理措置を施したうえで飛行させるものとして、相応の条件が付されています。
イベント(催し場所)上空の飛行との違い
当該施設から飛行の依頼があった場合といっても、「多数の者の集合するイベント(催し)が行われている場所の上空」については、飛行場所および日時を特定した個別飛行許可を取得しなければなりません。
標準マニュアル02は「第三者が往来する可能性が低い時間帯」について規定していることに対して、イベントは「多数の者が集合する催し」ですので異なります。イベントの場合、標準マニュアルは01(または01の独自マニュアル)を使用します。
イベント上空の飛行に該当するかどうか判断できない場合は、国土交通省に照会する必要があります。参考まで、イベントの該当要件については、国土交通省「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」で以下のとおり記載があります。
「多数の者の集合する催し」に該当するかについては、~(中略)~ 集合する者の人数や密度だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうか、また、主催者の意図等も勘案して総合的に判断される。
多数の者の集合する催しに該当しない場合であっても、特定の時間、特定の場所に数十人が集合しているときには「多数の者の集合する催し」に該当する可能性がある。
イベントの該当要件は、「空港等周辺」や「150m以上の高さの空域」のように、エリアや数値基準がはっきりと定められているものではありません。
学校で行う人文字の空撮は可能
それでは、学校で行われることがある、生徒などの人文字の空撮についてはどうででしょうか?
これは、学校の依頼に基づいて「ただし書き」の要件が満たされる場合においては、標準マニュアル02で飛行させることができます。イベントにも該当しません。人文字の被写体(生徒)は関係者、つまりドローン飛行の間接関与者という扱いです。立ち入りを制限する第三者ではありません。
ただし、間接関係者は、操縦者と共通の飛行目的を認識しているほか、次のもの全てに該当している必要があります。
- 操縦者が、間接関与者についてドローンの飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
- 間接関与者が、操縦者から、ドローンが計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、操縦者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。
- 間接関与者が、ドローンの飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。
運動会や体育祭は、特定の場所や日時に開催されるイベント(催し)の扱いです。
学校、病院、神社仏閣など、当該施設から依頼がない飛行の場合
標準マニュアル02のただし書きの記載ぶりは、学校、病院、神社仏閣など「当該施設から飛行の依頼があった場合」に限定しています。国土交通省からすれば、飛行場所を特定しないで許可承認を出すものですので、厳しめ寄りのルールブックにしていると思います。現に元々は「ただし書き」もなかったほどです。
業務においては施設所有者・管理者からの依頼による場合もありますが、そうとは限りません。当事務所の場合は、マニュアルの文言に不足がある飛行理由・目的・方法については補完的に書き換えます。
ただし、肝心なことは安全体制です。マニュアルとは「飛行させる際の安全を確保するために必要な体制」を具体的に示すものです。安全確保の体制として標準マニュアルで示されている、「可能性が低い時間帯とし、飛行経路を当該施設内に限定した上で~(中略)~予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。」は維持するよう、この文言はそのまま残しています。
標準マニュアル02には、運用実態はどうなっているのか?と疑問に思う箇所が、ほかにも出て参ります。
例えば、「高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。」、「高圧線、変電所、電波塔、無線施設などの施設上空及び付近では飛行させない。 ただし~」などです。
これらについては、別途お話しさせていただきます。
行政書士さいれんじ事務所はドローン飛行許可申請を代行しています。
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