「高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。」
この文言が、包括許可承認申請で使用する標準マニュアル02には書かれています。この禁止内容についてお話しします。
「高速道路、交通量が多い一般道~」は飛行マニュアルに記載されている文言
「高速道路、交通量が多い一般道、鉄道~では飛行させない。」には「ただし書き」がない
標準マニュアル02に記載されている禁止事項の中には、ただし書きによって一定条件の下、飛行が可能な場合があります。しかし、「高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。」の箇所は、「ただし書き」がありません。つまり標準マニュル02では、この行為は例外なくドローンの飛行が禁止されているものです。
高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。
この箇所は、02を独自マニュアルで書き換えても許可承認の審査に通りません。つまり、高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近で飛行させることは無理です。
しかし、ある特定の飛行目的の申請場合のみ、別の標準マニュアルを使用して飛行場所を特定しない申請を行うことができ、高速道路等の上空やその付近で飛行させることが可能です。
高速道路、交通量が多い一般道、鉄道などの点検のため、その上空や付近を飛行させる場合
「標準マニュアル02(インフラ点検)」には、高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近を飛行させる場合のルールが記載されています。次のとおりです。
高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近を飛行させる場合は、事前に飛行ルートを確認し支障物件等が無いか確認するとともに、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとり、飛行範囲に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う。また、車両が走行する車線もしくは鉄道、及び支障物件等に接近した場合は操縦者に適切な助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。
このマニュアルは、インフラ・プラント点検を飛行目的とした申請で認められる標準マニュアルです。それ以外の飛行目的には使用できませんので、特殊な例です。
通常の包括許可承認では飛行できない高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近のインフラ点検を行う場合には、通常の包括申請のほか、このマニュアル02(インフラ点検)による申請も行うことをお勧めします。
さて、それではこのインフラ点検を除いた場合、高速道路等の上空やその付近での飛行を行う場合は、どうしたらいいのでしょうか?しかしここで疑問になるのは、「交通量が多い」とは何か?「付近」とは何か?ということではないかと思います。そのことについてお話いたします。
「交通量が多い」とは何か?「付近」とは何か?
高速道路等の上空やその付近の飛行については、交通災害につながる危険性があることから規制の対象となっていますが、「交通量が多い」や「付近」について定義付けは示されていません。
2023年末に、標準マニュアル02を使用するものとは全く違うレベル3.5飛行の場合において、一定の条件を満たせば移動車両上空を含む道路、鉄道等の上空の一時的な横断が可能となりましたが、この道路や鉄道上空に係わる新たなルール改正の際にも一般的な「交通量が多い」や「付近」について明示的なものは示されませんでした。
標準マニュアル以外で、敢えて国土交通省が公表している資料の中から同旨の書きぶりを探すとすれば、「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の 安全な飛行のためのガイドライン」の中にそれがあります。以下の記載です。
- 高速道路や新幹線等に、万が一無人航空機が落下したりすると、交通に重大な影響が及び、非常に危険な事態に陥ることも想定されます。それらの上空及びその周辺では無人航空機を飛行させないでください。
- 鉄道車両や自動車等は、トンネル等目視の範囲外から突然高速で現れることがあります。そのため、それらの速度と方向も予期して、常に必要な距離(30m)を保てるよう飛行させてください。
標準マニュアル01を使った個別申請で対応
ドローンの落下によって交通災害が起こることは厳に避けなければなりません。操縦者の責任において適切な飛行判断が求められるところですが、飛行させていいものかどうか判然としない場合には、飛行場所を特定した個別申請を行うことが肝要です。
国土交通省は飛行場所を確認した上で、申請が安全性を担保できる内容であるかどうか、審査要領の要件に照らして審査を行うことになります。
この場合、標準マニュアル01を使いますが、このマニュアルは飛行場所を特定した申請用ですので、当然「高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。」の文言はありません。
個別申請で、飛行場所と高速道路等との距離、必要な安全対策の特記を行い、業務上必要な飛行を追及していくことが必要と思われます。
標準マニュアル02には、運用実態はどうなっているのか?と疑問に思う箇所が、ほかにも出て参ります。
例えば、「学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数 の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。ただし~」、「高圧線、変電所、電波塔、無線施設などの施設上空及び付近では飛行させな い。ただし~」などです。
これらについては、別途お話しさせていただきます。
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