- 2023年4月8日
ドローンを貸すとき、借りるとき
貸し借りには航空法上の手続きも必要です。
ドローンを貸すとき、借りるときは、有償であろうと無償であろうと、特定飛行を行うのであれば航空法に基づく手続きが必要です。
特定飛行の場合、飛行許可を取得している必要があります。または技能証明と機体認証が必要です。技能証明を持っていても、空域や飛行方法、最大離陸重量によっては飛行許可も併せて必要な場合がありますがここでは触れません(詳しくは「技能証明と飛行許可」のページをご覧ください)。
ドローンのレンタル事業者は、お客様に必要な手続きについて案内するでしょう。しかし、知り合い同士や個人間での貸し借りの場合、手続きに気づかないことがあります。貸す側は「どうぞお使いください」で済ませておしまい、借りる側も「飛行計画の通報や飛行日誌の携行などをいつもどおりにしていればいいや」と、飛行許可申請を忘れがちです。両者とも、適切な手続きを行う必要があります。
特定の飛行を行う場合の飛行許可手続きなどを再度確認しましょう。
- 機体、操縦者および安全体制(=飛行マニュアル)を申請して許可を受ける。
- 予め飛行計画を通報することが義務。
- 操縦者は飛行日誌を携行し、飛行前後の機体の確認、周囲の確認、その機体での飛行記録を日誌に記入することが義務。
貸すとき、借りるとき 借りる側が行う手続き
1.機体、操縦者および安全体制を申請して許可を受ける
飛行許可は機体を特定して許可を受けますので、他人から借りる機体が操縦者の飛行許可書に記載されている必要があります。借りる機体は普段使っているドローンではないと思います。繰り返し借りている場合を除けばご自身(操縦者)の許可書にはその機体は載っていないはずです。
手続としては次の3通りのいずれかを行います。
①機体追加の変更許可申請をする
②借りる機体用に新しく許可申請をする
③貸主の飛行許可書にご自身(借主)を操縦者として追加してもらうため変更許可申請をお願いする
注)①、③は、目的や許可内容の飛行空域・飛行方法が変わらない場合です。
①や②の方法で申請するには、貸主からDIPS2.0で「機体情報の提供」を受けてください。そのためには、借主は貸主に対してご自身(借主)の「DIPS2.0アカウントID」及び「氏名または法人名」を伝える必要があります。
情報提供を受けた機体は、飛行申請を行うDIPS2.0の「飛行許可・承認メインメニュー」/「無人航空機情報の登録・変更」 を開くとその機体情報が追加表示されます。
2.予め飛行計画を通報する
特定飛行では飛行計画の通報は義務です(特定飛行以外では通報は推奨)。
したがって、借りた機体を飛行させるためにDIPS2.0で通報手続きを行うのですが、許可書に記載されている機体でなければ通報ができない仕組みになっています。
通報には、機体情報、操縦者情報、飛行目的、飛行方法などを入力する必要があります。
機体情報は、DIPS2.0に登録されている機体を選択することになっています。借りた機体がこの画面に表示されているはずです。
3.飛行日誌を携行し、点検記録および飛行記録を記入する
特定飛行では飛行計画の通報と同様に、飛行日誌の携行と点検記録・飛行記録の記載が義務です(特定飛行以外では推奨)。
飛行日誌とは、①飛行記録、②日常点検記録、③点検整備記録の3つを一括りで総称しているものです。
そして飛行日誌の義務の主体や事柄には以下のようなものがあります。
- 飛行日誌はドローンの機体毎に備え、記載する。
- 飛行記録は操縦者が記載する。
- 日常点検記録は操縦者が記載する。
- 点検整備記録は使用者及び当該使用者の点検整備等に係る業務を受託するドローンの設計製造者等が記載する。使用者は点検整備等以外の故障等の是正措置なども記載する。
※使用者とは、機体登録で所有者と使用者を登録したときの使用者(管理責任者)のこと。 - 操縦者は飛行日誌を紙または電子媒体で携行する。紙媒体なら飛行記録と日常点検記録は直近の点検整備記録以降のもの、点検整備記録は全てのものを携行する。
機体を貸したり、借りたりする場合も、少し面倒ですが義務なので上記を行います。
つまり、次のことを行います。
ドローンを借りたときの飛行日誌の取扱い
- 貸主からその機体の飛行日誌の提供を受ける。
- 借主(操縦者)は飛行日誌を携行し、記載すべきことを記載します。
- 飛行後に貸主に対して記載した飛行日誌を渡します。
飛行日誌はドローンの機体毎に備えることになっているからです。
借主は、自己の操縦記録を保管する必要もあると思います。このあたりの詳細は国交省の取扱要領での記載はありませんが、記録は紙媒体なら複製、電子媒体なら双方でもつとよいと思います。
ドローンのレンタル業者の場合も、機体をレンタルする際に利用者に対して飛行日誌を渡し、レンタル終了後に利用者から飛行記録と日常点検記録を提出してもらうことになります。
飛行日誌は「ドローンの機体毎に備える」ものです。従いまして各記載様式は次のようなスタイルになっています。つまり様式のあたまに「無人航空機の登録記号」の記載欄があります。
貸すとき、借りるとき 貸す側が行う手続き
1.飛行許可申請をする借主への機体情報の提供
借主が特定飛行の飛行許可申請を行うには、貸主が機体情報を提供する必要があります。
貸主が行う具体的な手続きは次のとおりです。
- 借主のDIPS2.0「アカウントID」と「氏名または法人名」を確認する。
- 貸主のアカウントでDIPS2.0にログインし、他アカウント(借主)への機体情報の提供を行う。
これはあくまで情報の提供であって、機体を譲渡する手続きではありません。
また、借主のアカウントIDに紐づいているパスワード入力は不要で手続きは済みます。
DIPS2.0での具体的な手順を紹介します。
貸主自身のアカウントIDでログイン。「飛行許可・承認メインメニュー」/「無人航空機情報の登録・変更」/「機体登録」画面にある「他アカウントへの機体情報の提供」をクリックします。
「無人航空機情報提供」画面の「アカウントID」と「氏名または法人名」欄に借主の情報を入力します。次に機体を選択のうえ「情報提供」をクリックして完了です。
2.借主に飛行日誌を提供し、機体返却のときは追記された飛行日誌を受け取る。
飛行日誌に関して借りる側が行う手続きは以下のとおりでした。
- 貸主からその機体の飛行日誌の提供を受ける。
- 借主(操縦者)は飛行日誌を携行し、記載すべきことを記載します。
- 飛行後に貸主に対して記載した飛行日誌を渡します。
飛行日誌はドローンの機体毎に備えることになっているからです。
これを貸す側の立場に置き換えます。
機体を貸す借主に対して飛行日誌を渡します。機体を返却してもらうときは、併せて飛行記録と日常点検記録が追記されたものを提出してもらいます。
面倒な手続きですが、これを会社内のことに置き換えると、こうです。
「社員(操縦者)がドローンを操縦するときは、機体毎の飛行日誌を同僚の社員と社内で共有する」というのをイメージするといいのかもしれません。
参考まで、国交省の「無人航空機の飛行日誌の取扱いに関するガイドライン」に掲載されている飛行記録のうち、レンタル事業者の場合の記載例をご紹介し、このページを締めくくりたいと思います。
レンタル事業者の「貸田太郎氏」は、利用者である「借田一郎氏」に飛行日誌を記載してもらい、続けて次の利用者の「借田二郎氏」にも記載してもらっています。
行政書士さいれんじ事務所はドローン飛行許可申請を代行しています。
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ドローン飛行許可申請を行政書士が代行するのは法的根拠があります。
DIPS2.0でのドローン飛行許可申請のポイントを以下のページで紹介しています。