ドローンの航空法違反罰則 - 行政書士さいれんじ事務所

ドローンの航空法違反罰則

ドローン飛行の航空法違反による罰則項目が増えました

2022年12月の改正法施行で、ドローンの航空法違反による罰則事項が増えました。
そこでその罰則について紹介します。
なお、法律条文のとおりではなく省略・意訳しています。
したがいまして正確な条文内容をお知りになりたい場合は航空法第157条の6以降の「無人航空機の飛行等に関する罪」をご確認ください。
また、ドローンユーザーがドローンを飛行させる際のものに絞って紹介しています。それにより指定試験機関・登録検査機関、登録講習機関及び型式(機体)認証、技能証明を受けた者に限った罰則は省きました。

1.事故時の救護義務

ドローンを飛行させて人の死傷・物件損壊・航空機との衝突・接触などの事故を起こした場合は、直ちに飛行を中止し負傷者の救護その他危険防止のための必要な措置を講じなければならないが、必要な措置を講じなかった者。

→2年以下の懲役または100万円以下の罰金

2.機体の登録義務

ドローンの機体登録をしないで航空の用に供した者(試験飛行の届出済みの場合を除く)。

→1年以下の懲役または50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

※ドローンの機体登録は所有者の申請により国交省の登録原簿に記載されることによって行われます。

3.飲酒操縦

アルコールまたは薬物の影響によりドローンの正常な飛行ができないおそれがある間に飛行させてはならないが、これに違反して、道路・公園・広場その他の公共の場所上空でドローンを飛行させた者。

→1年以下の懲役または30万円以下の罰金

4.登録記号の表示義務

ドローンに登録記号の表示その他ドローンの登録記号を識別する措置を講じないで航空の用に供した者(試験飛行の届出済みの場合を除く)。

→50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

※ドローンに登録記号を表示その他ドローンの登録記号を識別する措置(リモートIDの搭載)を講じるのは所有者です。

5.危険な機体・装備品による飛行

航空機の航行や地上・水上の人・物件の安全が著しく損なわれるおそれがあって登録を受けることができないものとなり所有者または使用者が是正命令を受けたが、その命令に違反して航空の用に供した者。

安全が著しく損なわれるおそれがあるものとは、①国交大臣が指定したドローンまたは指定した装備品を装備したドローン、②表面の突起物(飛行に必要なものを除く。)その他接触した場合に安全を著しく損なうおそれがある構造を有するドローン、③遠隔操作又は自動操縦が著しく困難なドローン。

→50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

6.禁止飛行空域や飛行方法(特定飛行)違反

規制対象となる飛行空域または飛行方法で飛行させようとする者は、国交大臣が運航の管理が適切に行われているものと認めて許可・承認したものでなければ飛行させてはならないが、これに違反して飛行させたとき。

→50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

7.飛行前の確認義務

飛行させるドローンが飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整っていることを確認した後に飛行させなければならないが、これに違反して飛行させたとき。

確認とは、ドローンの状況、飛行空域及びその周囲の状況、気象情報、燃料搭載量またはバッテリー残量、リモートID(該当する場合)の作動状況、それらの外部点検及び作動点検。

→50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

8.衝突予防措置

航空機や他のドローンとの衝突を予防するため、周囲の状況に応じ地上に降下させる、その他の方法により飛行させなければならないが、これに違反して飛行させたとき。

なお、その他の方法とは、他のドローンとの間に安全な間隔を確保、確保できない場合は地上に降下させるなど。

→50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

9.迷惑飛行

飛行上の必要がないのに高調音を発し、または急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような飛行をしてはならないが、これに違反して、道路、公園、広場、その他の公共の場所の上空で飛行させたとき。

→50万円以下の罰金(両罰規定の対象)

10.第三者が立ち入った場合の措置義務

ドローンを飛行させる者は、特定飛行を行う場合、ドローンの下に人の立入りまたはそのおそれのあることを確認したときは、直ちに飛行を停止して、飛行経路の変更、航空機の航行の安全、地上・水上の人・物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸など必要な措置を講じなければならないが、これに違反して必要な措置を講じなかったとき。

→50万円以下の罰金

11.飛行計画の通報義務

特定飛行を行う場合には、予め特定飛行の日時、経路その他の飛行計画をシステム(DIPS2.0)で通報しなければならない。ただし、DIPS2.0に障害が発生し飛行開始までの間に通報手段がない場合は特定飛行を開始した後速やかに通報しなければならないが、これらに違反して通報しないで飛行させたとき。

→30万円以下の罰金

12.飛行計画の変更指示に対する違反

国交大臣は、前述によって通報された飛行計画が航空機・人・物件の安全を損なうおそれがあると認めた場合、ドローンを飛行させる者に対し、飛行の日時または経路の変更その他の措置を講ずべきことを指示できるが、これに従わず飛行させたとき。

→30万円以下の罰金

13.事故発生の報告義務

事故が発生した場合、ドローンを飛行させる者は、発生した日時、場所その他を報告しなければならないが、報告をせず、または虚偽の報告をした者。

この場合の事故とは、ドローンによる人の死傷、物件の損壊、航空機との衝突、接触など。

→30万円以下の罰金

14.特定飛行時の飛行日誌を備える義務

ドローンを飛行させる者は、特定飛行を行う場合、飛行日誌を備えなければならないが、これに違反して備えなかったとき。

なお、飛行日誌とは、飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録のこと。

→10万円以下の罰金(両罰規定の対象)

15.飛行日誌の記載義務

特定飛行を行う者は、ドローンを航空の用に供し、または整備し若しくは改造した場合は、遅滞なく飛行日誌に記載すべき事項を記載しなければならないが、これに違反し記載すべき事項を記載せず、または虚偽の記載をしたとき。

なお、記載すべき事項とは、航空法施行規則第236条の84第2項が該当。これらは無人航空機の飛行日誌の取扱要領の様式1~3に記載あり(国交省ホームページ「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に遷移)。

→10万円以下の罰金(両罰規定の対象)

16.立入検査の拒否

国交大臣は必要があるときは国交省職員にドローンの所有者、使用者若しくは飛行を行う者などの事務所やドローンの所在する場所に立入ってドローン、書類などの物件の検査や、関係者への質問をさせることができるが、これに違反して検査を拒み、妨げまたは忌避したとき。また質問に対して虚偽の陳述をしたとき。

→100万円以下の罰金(両罰規定の対象)

17.報告徴収違反

国交大臣は必要があるときはドローンの所有者、使用者若しくは飛行を行う者などに対し報告を求めることができるが、これに違反して報告をせず、または虚偽の報告をしたとき。

→100万円以下の罰金(両罰規定の対象)

18.機体の変更届の義務

登録ドローンの所有者は、所有者、使用者、機体の重量区分、改造の有無、リモートID搭載の有無に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に変更に係る事項を届け出なければならないが、届出をせず、または虚偽の届出をした者。

所有者変更の時は、変更後の所有者が届け出る。

→30万円以下の過料

19.登録抹消の申請義務

登録ドローンの所有者は、以下の事由があった日から15日以内に登録抹消の申請をしなければならないが、申請をしなかったとき。
①ドローンの滅失または解体(整備・改造・輸送・保管のための解体を除く)をしたとき。
②ドローンの存否が2か月間不明になったとき。
③ドローンではなくなったとき。

→30万円以下の過料

20.ドローンの飛行に影響を及ぼすおそれのある行為

以下はドローンユーザーに対する罰則ではありません。ドローンユーザーがドローンの飛行で妨害行為を受けた場合、その行為を行った者が罰せられるものです。

①ドローンに向かって花火を打ち上げ、または石、ガラス瓶、金属片などドローンを損傷するおそれのある物を投げたり発射すること。
② ドローンの飛行を妨害するおそれのある電波を発射すること。
③ ドローンの遠隔操作または自動操縦を妨げること。

→30万円以下の罰金

ドローン飛行の航空法違反の罰則(違法)の画像


如何でしたでしょうか?せっかく飛行許可・承認を取得したにも関わらず、実はうっかり法律違反ということがあるかもしれませんので、くれぐれもご注意ください。

このウェブサイトに掲載している情報の正確性には細心の注意を払っております。しかしながら法令解釈や制度改正等で不正確な表記を含む場合があり得ます。掲載情報を用いた行為によって生じた損害には一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

また、本ページの内容は航空法以外の法律違反を記載しておりませんので、他の法律による罰則にも十分ご注意ください。

当事務所では、ドローン飛行許可・承認申請の代行を承っております。お気軽にお問い合わせください。

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