国有林野でドローンを飛行させるときの入林届について

「国有林野の管理経営に関する法律」に基づく手続き

国有林野でドローンを飛行させるときには、管轄する森林管理署に入林届を提出する必要があります。この届出は国有林野に立ち入って飛行させる場合のほか、立ち入らないで国有林野の上空を飛行させる場合でも、「一部の例外」を除き必要です。

根拠規定は「国有林野の管理経営に関する法律」に基づく国有林野管理規程および国有林野管理規程細則です。林野庁各地方森林管理局は、国有林野を適切に管理していく必要性から、「原則」として入林希望者から入林届の提出を求め、国有林野の管理経営上の支障等がないかの確認を行っています。

このページでは、入林届を提出する方法や、提出先毎に少し異なるルールなどを見て参りたいと思います。

入林届の提出先を調べる

入林届の提出先を調べる前に、まず、ドローンを飛行させようとする場所が国有林野に該当するのかどうかについて調べることが先ですが、それについては別のページ「国有林野の調べ方」で紹介しています。

そのページでは、国土交通省「国土情報ウェブマッピングシステム」が便利であることをお話ししています。
地理院地図でも調べることができますが、国有林野とそれ以外の境界線が大まかにしか表示されません。ドローンユーザーは地理院地図のほうが使い慣れていることが多いですが、上記のマッピングシステムの画面操作は、地理院地図とほとんど同じですので、戸惑うことも少ないでしょう。参考にしてください。

さて、国有林野に該当する場所を飛行させることが判明した後は、林野庁の管轄森林管理署等に入林届を提出します。森林管理署等とは、森林管理署、森林管理支署、森林管理事務所のいずれかのことを指します。

管轄の森林管理署等がどこなのかを調べるのも、国土情報ウェブマッピングシステムで簡単にできます。これについても別のページ「国有林野の調べ方」で併せて紹介しています。マッピングシステムの画面で表示された地図上の飛行箇所をクリックすると表示されるようになっています。

上の地図で言えば、「利根沼田森林管理署」と表示されています。この管理署名でネット検索すれば、連絡先が分かります。

入林届が不要となる一部の例外

冒頭に述べた中で「『原則として』入林希望者から入林届の提出を求め」や、「国有林野の上空を飛行させる場合でも、『一部の例外を除き』必要」という部分がありました。これは以下のような例外があるためです。

• 「原則として入林希望者から入林届の提出を求め」
  
  登山や森林浴など森林レクリエーションを目的とする入林やスキー場などの利用は入林届の提出は不要です。しかし、無人航空機を飛行させることは、提出が必要なケース（原則内）の一つとなっています。
  
• 「国有林野の上空を飛行させる場合でも、一部の例外を除き必要」
  
  「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.4.0」（2023 年3月 国土交通省）に沿って、操縦者等が国有林内に立ち入らずに、無人航空機が上空を通過する場合には、届け出は不要となって例外です。
  これは、ドローン物流サービスの社会実装に向けて関係法令を整理したものです。ドローン物流を行うにあたり「上空を通過」する場合です。
  それ以外の、一般的にドローンを国有林野上空で飛行させる場合とは区別されます。参考まで中部森林管理局の説明ぶりをご確認ください。他の地方森林管理局にも同様の説明があります。

中部森林管理局「国有林野内で無人航空機（ドローン、ラジコン機等）を飛行させる場合」（別ウインドウに遷移します。）

地方森林管理局ごとのルール

地方森林管理局が管轄している県に注意

入林届の提出方法は、森林管理署等を束ねている各地方森林管理局ごとのウェブサイトがありますので、そこで調べます。各局ごとに少しずつ違いがあります。

また、地方森林管理局は全国で７箇所です。つまり、８地方区分の全てには所在していないので、局が管轄している県に注意が必要です。以下のとおりとなっています。

地方森林管理局のウェブサイトで提出方法を調べる

あとは森林管理署等を管轄している地方森林管理局のウェブサイトで提出方法を調べます。以下の入林全般の説明ページから、ドローンに特化した説明ページへ読み進めたほうが理解しやすいと思います。

地方森林管理局ごとに入林届のルールに違いあり

入林届の提出にあたっては、各地方森林管理局ごとのウェブサイトに説明があり、その内容は少しずつ異なっています。ここでは、入林届の提出期限や、その他の違いについて紹介します。提出予定の際には改めてその時点での各局のウェブサイトを確認、提出先森林管理署等への問い合わせ等で最新の情報を入手してください。

北海道森林管理局

• 提出期限　1週間程度余裕をもった日程。
• 提出手段　持ち込み、郵送、インターネット（E-mail）により提出。
• 写し受取　入林届の返送に際し、郵送による返送を希望の場合は返送用封筒及び切手を同封。
• 特記事項
  • 入林の際は、返送された入林届を携帯。
  • 無人航空機による事故を起こし、又は無人航空機を紛失した場合は、速やかに森林管理署等に連絡。

東北森林管理局

• 提出期限　一週間以上余裕をもって提出。
• 提出手段　郵送、持参又はメール。
• 写し受取　
  接受印を押印した入林届の写しを返送するので、郵送での返送を希望の場合は、「返信用封筒」と「切手」を入林届と併せて持ち込み又は郵送。
• 特記事項
  • 入林届の空欄等に機体の「登録記号」を記入（記入例「無人航空機の登録記号：JU123A456789」）。
  • 入林届と一緒に「入林に際しての遵守事項」を印刷して添付。
  • 入林するときは、入林前に森林管理署又は森林事務所に連絡。
  • 森林管理局・署等の職員や森林管理局・署等が発注する事業や調査等の受託者が、国有林野内で無人航空機を飛行させる場合は、「入林届」の提出は必要なし。

関東森林管理局

• 提出期限　入林しようとする日の5業務日前まで。
• 提出手段　持ち込み、郵送及びメール。
• 写し受取　
  接受後の入林届（写）を希望する場合は、事前に申し出る。入林届（写）の希望者は、メール又は郵送で返送。郵送を希望する場合は、入林届を提出する際に忘れずに返信用封筒（必要な額の切手を貼付したもの）を同封。
• 特記事項　
  • 入林届の連絡先には、電話番号に加え、FAX番号（FAXでの返送を希望の場合）又はメールアドレス（メールでの返送を希望の場合）を記入。
  • 入林するときは、入林前に届出をした森林管理署等に連絡。
  • 無人航空機による事故を起こした場合、又は無人航空機を紛失した場合は、速やかに届出をした森林管理署等に連絡。
  • 森林管理局・署等の職員や森林管理局・署等が発注する事業や調査等の受託者が、国有林野内で無人航空機を飛行させる場合は、「入林届」の提出は必要なし。

中部森林管理局

• 提出期限　余裕を持った日程（7開庁日前までに）
• 提出手段　
  持ち込みによる方法、郵送による方法に加え、インターネット（E-mail）。直接持ち込みの際、勤務時間外又は留守の場合は、森林管理署等の郵便受に投函。
• 写し受取　
  入林届は、森林管理署等で接受後、その写しを返送。郵送での返送を希望の場合は、返信用封筒と切手（110円）を入林届と併せて持ち込み又は郵送。
• 特記事項
  • 入林するときは、入林前に森林管理署等又は森林事務所に連絡。
  • 入林にあたっては、返送された接受印のある入林届（写）を必ず携行。
  • 森林管理局・署等の職員や森林管理局・署等が発注する事業や調査等の受託者が、国有林野内で無人航空機を飛行させる場合は、「入林届」の提出は必要なし。

近畿中部森林管理局

• 提出期限　入林しようとする日の10業務日前まで。
• 提出手段　持込み、郵送及び電子メール。
• 写し受取　入林届の返送に際し郵送を希望の場合は、返送用封筒及び切手を同封。
• 特記事項
  • 複数の森林管理署等の管轄をまたいで入林する場合（県境を越えるときなど）は、それぞれの管轄森林管理署等へ届け出。
  • 入林するときは、入林前に森林管理署又は森林事務所等に連絡。
  • 無人航空機による事故を起こし、又は無人航空機を紛失した場合は、速やかに森林管理署又は森林事務所等に連絡。
  • 森林管理局・署等の職員や森林管理局・署等が発注する事業や調査等の受託者が、国有林内で無人航空機を飛行させる場合は、「入林届」の提出は必要なし。

四国森林管理局

• 提出期限　入林予定の5業務日以上前に提出。　
• 提出手段　提出はなるべくインターネット（E-mail）。直接の持ち込み、郵送での提出も可能。
• 写し受取　入林届写の郵送を希望する場合は、返信用封筒に切手を貼付し、入林届と併せて持ち込み又は郵送。
• 特記事項
  • 提出前に必ず管轄の森林管理署等へ連絡。
  • 入林届の連絡先には、電話番号・メールアドレスを記入。
  • 複数の森林管理署等の管轄をまたぐ場合は、四国森林管理局保全課へ提出。宛名は「四国森林管理局長」。
  • 入林するときは、入林前に森林管理署等に連絡。
  • 無人航空機による事故を起こし、又は無人航空機を紛失した場合は、速やかに森林管理署等に連絡。

九州森林管理局

• 提出期限　1週間以上の余裕をもった日程。
• 提出手段　
  持ち込み、郵送に加え、ファクシミリ及びインターネット（E-mail）。直接持ち込みの際に、勤務時間外又は留守の場合は、森林管理署等の郵便受に投函。
• 写し受取　
  入林届は、森林管理署等で接受後、その写しを返送。郵送での返送を希望の場合は、返信用封筒と切手（110円）を入林届と併せて持ち込み又は郵送。
• 特記事項
  • 複数の森林管理署等の管轄をまたいで入林する場合（県境を越えるときなど）は、原則、それぞれの管轄森林管理署等へ届け出。
  • 入林するときは、入林前に森林管理署又は森林事務所に連絡。
  • 無人航空機による事故を起こし、又は無人航空機を紛失した場合は、速やかに森林管理署又は森林事務所に連絡。
  • 屋久島森林管理署管轄の国有林への入林については別記あり。

該当の局に特記事項の記載がないからといって、不要であるとは限りません。必ず提出先の森林管理署等に詳細をご確認ください。

該当する森林管理局の入林届様式を使う

入林届の様式は各局統一のように見えますが、局によって「申請者」と「届出者」など記載の文言が異なりますので、提出先森林管理署等を管轄する局のものを使用してください。