ドローン飛行許可申請 人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行

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人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行については、国土交通省の東京航空局または大阪航空局にドローン飛行承認申請を行って承認を得る必要があります。

人口集中地区(DID)での飛行許可と同様に、場所を特定しない最大1年間の包括許可・承認で取得することが可能です。

ドローンの機能・性能、操縦者の飛行経歴・知識・能力、安全を確保するための体制についての審査を受けます。DIDでの飛行許可でも求められることですが、操縦者は10時間以上の飛行経歴と航空法や安全飛行などの知識・能力を有することが必要です。その他の要件は後述します。

また、安全を確保するための体制は、つまり飛行マニュアル内容の審査になります。航空局標準マニュアル02の使用では、離着陸時の人又は物件から30m以上の距離を確保することについて注意を要する安全体制の確保が要求されています
これについても後述します。

まずはじめに、人と物件についての航空法上の定義を見ていきます。ドローンの飛行に関与しない第三者や第三者物件が該当します。

「人」とは

無人航空機を飛行させる者及びその関係者(無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)以外の者(第三者)

「物件」とは

次に掲げるもののうち、無人航空機を飛行させる者及びその関係者(無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)が所有又は管理する物件以外のもの(第三者物件)

a)中に人が存在することが想定される機器(車両等)

b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物

物件の具体例

車両等:
自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン 等

工作物:
ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等

物件に該当しないものの例

土地:
田畑用地及び舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線路等であって土地と一体となっているものを含む。

自然物:
樹木、雑草 等

次にここで出てきました用語のうち、「無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者」の定義について見ていきます。

無人航空機の飛行に直接関与している者

操縦者、現に操縦者していないが操縦する可能性のある者、補助者等無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員

無人航空機の飛行に間接的に関与している者

飛行目的について無人航空機を飛行させる者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者

a)無人航空機を飛行させる者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。

b)間接関与者が、無人航空機を飛行させる者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、無人航空機を飛行させる者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。

c)間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。

これらを除く者が「第三者」に該当することとなり、そしてこれら直接又は間接関与者以外が所有又は管理している物件が「第三者物件」となり、「人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行」でいう「人」と「物件」です。

以上、国土交通省「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」より引用して記載しました。

次に、ドローンの飛行申請を行う際に求められる人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行の承認を得る要件と基準について見ていきます。

要件は「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」に示されています。

無人航空機の落下による第三者に対する危害を防止するため、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、次に掲げる基準に適合すること。

機体について

第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する機能を有すること。機能の例は以下のとおり。

プロペラガード

衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着

衝突防止センサー(正常に機能していること及び当該センサーの有効範囲や性能上の限界等の範囲内であること)

プロペラガードの装備はマストではありません。航空局標準マニュアル02には、

「(プロペラガードを)装備できない場合は、第三者飛行経路に入らないように監視及び注意喚起をする補助者を必ず配置し、万が一第三者が飛行経路に接近又は進入した場合は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。~」

と規定されています。

操縦者について

意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること

飛行許可・承認を得るためには、この操縦者に求められる基準の他、前提として10時間以上の飛行経歴と航空法や安全飛行などの知識・能力を有することが必要です。

安全を確保するために必要な体制について

第三者の上空で無人航空機を飛行させないよう、次に掲げる基準に適合すること。

飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。

飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。なお、4-3-2(3)b)に示す立入管理区画を設定する場合又は5-4(1)d )ウ )(ⅲ)に規定する要件に適合する場合には、補助者の配置を省略することができる。

飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。なお、4-3-2(3)b)に示す立入管理区画を設定する場合又は5-4(1)d )ウ )(ⅲ)に規定する要件に適合する場合には、補助者の配置を省略することができる。

注:ここでいう4-3-2(3)b )は、塀やフェンス等の設置、飛行範囲、周辺環境に応じ、関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーンの設置で、第三者を完全に排除できることを指します。
また、5-4(1)d )ウ )(ⅲ)は、機体のカメラで飛行経路の直下及びその周辺の第三者立ち入りが無いことを確認できることなどを指します。これは目視外飛行の要件でもあります。
詳細は審査要領の該当項目のご確認をお願いいたします。

2022年12月5日の改正航空法施行時に、航空局標準マニュアルが修正されました。

人又は物件との距離が30m以上確保できない場合の安全体制も修正されました。

2022年12月4日までの内容

・人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所及び周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。

この標準マニュアルでは、人又は物件との距離が30m以上確保できない飛行の承認を得ていたとしても、人又は物件から30m以上の距離を確保した離発着が必要でした。

2022年12月4日からの内容

(13)人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を可能な限り選定するとともに、周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。

「可能な限り選定する」となり制限が緩和されました。ただし、選定できなかった場合の対応策についての記載はありません。

不自由であれば、独自マニュアルとして追記していくことを考えるべきだと思います。

また、物件の定義や航空局標準マニュアルに関して、別の注意点をお伝えいたします。

第三者物件に該当しないものの例で田畑を挙げました。しかし田畑の近くにあっても見落としがちなものとして電柱電線があります。これらは第三者物件ですので注意が必要です。

更に、路面や線路も第三者物件に該当しないと紹介しましたが、航空局標準マニュアル02には以下の記載があります。

高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。

交通量の多い道路鉄道の上空やその付近では飛行できません。

「交通量の多い」についての数値基準はありません。また、この項目の標準マニュアル02の加筆修正は認められていません。交通量が多い道路と思うものの不明な場合の対応策は個別申請を行うこととなります。個別申請で使用する標準マニュアル01には「高速道路、交通量が多い ~中略~ 飛行させない。」の文言はありません。

 

人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行の画像

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