- 2023年4月8日
DIPS2.0でのドローン飛行許可申請を行政書士が解説 - 行政書士さいれんじ事務所
DIPS2.0での申請のポイント
ドローン飛行許可申請を行うオンラインシステムは、ドローン情報基盤システムDIPS2.0です。
紙での申請よりも便利ですが、慣れないと時間がかかり進めるのが一苦労です。
国交省ウェブサイトのQ&Aでは以下の記載があります。
(出典:DIPS2.0内【飛行許可承認/事故等報告】よくある質問)
Q 入力にかかる時間はどれくらいですか?
A 手続き、入力が必要な情報の準備状況、申請者のパソコンの操作への習熟度によって入力にかかる時間は異なります。日常的にパソコンを利用されている方が、入力に必要な情報の全てが揃っている状態で新規登録の手続きを実施する場合、入力にかかる時間の目安は20分程度です。
新規の飛行許可申請手続きで20分でできる方は早いほうではないでしょうか。
このページでは、時間のロスを生じないようDIPS2.0でのポイントを紹介します。
ログインは機体登録のID・パスワードに統一
ご存じの方も多いと思いますが、ドローン機体登録(DRS)、ドローン飛行許可申請(DIPS)、飛行情報共有(FISS)などのシステム(ここでは旧DIPSと呼びます)が統合され、DIPS2.0という新しいシステムに生まれ変わりました。
これに合わせてアカウント(ログインID・パスワード)は、旧DIPSでバラバラであったものが統一されて「機体登録用のもの」が使用されることになりました。
旧DIPSで作成した申請書はどこに?更新申請は?
また、旧DIPSで作成した飛行許可申請書は、「飛行許可・承認メインメニュー」の最下段にある「旧システムで作成した飛行許可・承認の申請書を参照する」のボタンから見ることができます。しかし新システムに取り込むことはできません。
新しくDIPS2.0で作成する申請書のみ複製、変更、更新ができる仕様です。
そのため、旧DIPSで飛行許可を取得したものを更新等する場合は、DIPS2.0で新規申請によって行うことになります。
※また、旧DIPSの申請書を見る場合は「旧システムで……参照する」のボタンを押下後、旧DIPSの飛行許可申請用ID・PWで入ります。
DIPS2.0で入力するための事前準備は万全に
旧DIPSと同じですが、60分以上操作をしないと入力した内容が保存されません。操作を中断する場合は、画面下部の「中断」ボタンで一時保存します。再開は「飛行許可・承認メインメニュー」の「申請書一覧」から編集再開します。
途中で操作を止めることがないように以下のものは事前に確認・準備しておくと申請がスムーズです。
機体等の写真画像
機体の種類、飛行空域・方法によって用意するものが違います。
- HP掲載機では、画像の一部省略ができますので、「機体のカメラ部分とカメラで映し出された映像のプロポ側画面のセット」、「プロポ画面の位置情報と異常の有無を把握できる画面のセット」。その他「プロペラガードを付けた機体写真」、「フェールセーフ機能の表示画面」など。
- プロペラガードを装着して飛行させるのであれば、機体写真は装着してある画像が必要です。
- 上記でセットと書かれているものは、画像が2つの場合はWordファイルなどで1ファイルにしておく必要があります(添付できるのは1ファイルのため)。
- HP掲載機では、プロペラガードやフェールセーフ機能の表示画面などは不要であることが多いです。不要なものを添付した場合は、画面上部に「写真等の添付が不要です。」と赤文字で表示されますのでメッセージに従い削除すれば大丈夫です。
- 写真の添付が最も多いのはHP非掲載機や自作機です。以下のものが必要になってきます。個々のケースで違ってきますので詳細については割愛します。
「機体の前・横・上、プロポ」、「機体のカメラ部分とカメラで映し出された映像のプロポ側画面のセット」、「プロポ画面の位置情報と異常の有無を把握できる画面のセット」、「フェールセーフ情報」、「プロペラガード」、「夜間飛行用灯火」、「農薬散布機のタンク取付け部分・ノズル部分」の画像など。
賠償責任保険の情報(加入している場合)
- 保険会社、保険名、補償金額(対人、対物)を予め確認しておくと時間のロスを防げます。
- なお、保険未加入でも飛行許可申請はできます。
独自マニュアル
独自マニュアルを使用する場合は、航空局標準マニュアルとの相違事項を問われますので、相違事項を予め書き出しておくと便利です。
- 航空局標準マニュアルと同等の水準ですか。→ 「いいえ」を選択。
- 「該当箇所(目次番号等)とその概要を記載してください。」の記載欄に以下のような事項を記載します。
- 飛行させる際の風速(2-8(3),3-1(2))
- 人又は物件から30m以上の距離が確保できない離着陸場所の体制(3-1(13))
- 夜間の飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況での飛行(3-3(2)) など
- 独自マニュアル作成の際に、標準マニュアルからの変更箇所は朱書きにします。そしてこの記載欄に「変更箇所は朱書き」である旨を入れておくと、審査側も審査がスムーズになり、許可取得に要する時間も多少影響がある(早くなる)と思います。
簡易カテゴリーという用語に心配は無用
簡易カテゴリーはDIPS2.0で初めて出てきた用語です。
ですが迷う必要はありません。設問に答える内容の大半はこれまでの申請で出てきた内容です。
カテゴリーⅡAとⅡBの違い
- カテゴリーⅡ飛行のうち、特に、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行は、リスクの高いものとして、「カテゴリーⅡA飛行」といい、その他のカテゴリーⅡ飛行を「カテゴリーⅡB飛行」という。
(以上は国家資格用の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」に記載があります。) - つまり人口集中地区の上空、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件との間に30m以上の距離を確保できない飛行であって、飛行させる無人航空機の最大離陸重量が25kg未満の無人航空機の飛行の場合はカテゴリーⅡB飛行です。
DIPS2.0でのA、B表示
- 国交省HP上でのカテゴリー分けで、新制度導入後、数カ月間はカテゴリーⅡAとⅡBを使い分けて表示していたのですが、現在はこの用語が削除され、カテゴリーⅡとして記載されているようです。教則にはⅡA・ⅡBの記載が残っています。
- ここで迷わないためにお伝えしますと、包括申請で最もポピュラーなものは上記のカテゴリーⅡBですが、DIPS2.0ではこれがⅡAと表示されます。正しく表示されていないと思いますが、入力を進めていく内容は、従前どおりの許可・承認の審査内容であることには変わりありません。迷わず申請を進めてください。ネット上でも指摘されている方がいらっしゃいます。今後のメンテナンスで表示の修正があると思っております(本件は
国土交通省に照会中です。その結果は本ページに追記する予定です)。
追記
2023年5月15日、国土交通省からの回答(国土交通省の了解を得て掲載しております。)
カテゴリ―ⅡA・ⅡB飛行についてはご認識のとおりであり、リスクの高い飛行orリスクの低い飛行として整理されております。
一方、DIPS2.0に示すカテゴリー判定の記載は、機体認証・技能証明に紐づく表現となっていることから、一律「カテゴリ―Ⅱ飛行」として示すよう、今後のプログラム改修を予定しています。
なお、先行して、航空局ホームページにおいて、カテゴリーⅡ飛行[飛行許可・承認申請が必要な飛行][飛行許可・承認が不要な飛行]として示させて頂いております。
立入管理措置の選び方
カテゴリー判定の設問の中で、「立入管理措置を講じますか?」という設問があります。
これまでは、補助者を配置して第三者を立入らない措置を施すのが専らでした。一部例外はあります。新しいDIPS2.0では以下の選択肢があります。
- 補助者を配置する。
- 立入禁止区画を設定する。
- 立入管理区画を設定する。
- 立入管理区画を設定する(レベル3飛行)。
- その他対策を講じる。
補助者を配置して第三者の立入らない管理を行うのなら、「補助者を配置する」です。
ただし、2022年12月5日改訂の標準マニュアル02では、以下の記載があります。
航空局標準マニュアルからの抜粋
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(5)飛行させる際には、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとる。なお、塀やフェンス等を設置することや、第 三者の立入りを制限する旨の看板やコーン等を飛行範囲や周辺環境に応じて設置することにより立入管理区画を明示し、第三者の立入りを確実に制限することができる場合は、これを補助者の配置に代えることができる。
つまり、「なお」以降の ”補助者の配置に代えることができる” 措置が加わりました。「立入管理区画を設定する。」の選択も可能です(補助者の配置との2つ選択可)。
その他、「立入禁止区画を設定する」と「立入管理区画を設定する(レベル3飛行)」は以下のとおりです。
- 立入禁止措置を設定する
イベント上空を飛行させる飛行の際に対策しなければならない飛行高度と禁止エリアの距離のことを意味します。従いましてイベント上空の飛行の許可申請のときのみ使用する安全管理体制です。 - 立入管理区画を設定する(レベル3飛行)
無人地帯での補助者を配置しない目視外飛行による宅配の実証試験飛行などです。これは試験飛行なので場所を特定した飛行です。経路次第では補助者を配置する必要があります。
係留飛行は一般的には行わない場合が殆ど
これも簡易カテゴリー判定の設問の中で出てきます。
「30m以下の係留索による係留飛行を行いますか?」という設問ですが、「いいえ」を選択する場合が殆どです。
「はい」を選択すると以下の特定飛行の場合で飛行許可が不要です。そもそもDIPS2.0で申請する必要がありません。
- 人口集中地区上空における飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 第三者から30m以内の飛行
- 物件投下
ただし、例外として次の特定飛行は係留しても許可申請が必要です。
- 空港等周辺
- 緊急用務空域
- 150m以上上空の飛行
- イベント上空での飛行
- 危険物輸送
係留飛行については「航空法によるドローン飛行許可制度等」で説明しています。
ご参考まで該当箇所にリンクします。
画面の右端が切れて見えない場合に注意
ブラウザによっては、DIPS2.0で画面の右端が切れて見えないことがあります。
申請書を作成する前に入力する「無人航空機の情報の登録・変更」と「操縦者情報の登録・変更」は、申請書の作成前に入力します。この2項目を先に入力することについては、旧DIPSと変わりありません。
ここで見落としがちなのが、「操縦者情報の登録・変更」の画面で、操縦者と機体を紐づけするための「機体選択」ボタンが見えていないことがあります。画面の右側までスクロールして必ず機体を選択してください。
また、申請書の入力の中でも「機体情報一覧・選択」でプロペラガードの装着などを入力するための「追加基準」ボタンも見えていないことがあります。これも画面の右側までスクロールして押下し、必ず追加基準の画面に進んでください。
画面の右端が切れていない場合でも見落としがちなボタンです。「機体選択」と「追加基準」ボタンにはご注意ください。
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