- 2023年4月8日
イベント上空の飛行を分かりやすく解説 - 行政書士さいれんじ事務所
イベント上空(催し場所上空)とは
イベント上空の飛行は、ドローンの故障等により落下すれば人に危害を及ぼす蓋然性が高いことから、飛行させてはならない飛行方法です。機体の機能性能、操縦者の知識・技能、安全体制の審査を受けて国土交通省から承認を得る必要があります。
また、包括申請ではなく、飛行場所及び日時を特定した個別申請で国土交通省の審査を受ける必要があります。
航空法上、イベントは、
「祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所」(航空法第132条の86第2項第4号)
と表現されています。もう少し具体例を見ていきます。国土交通省が作成している「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」に次のとおり書かれています。
該当する例
祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート、町内会の盆踊り大会、デモ(示威運動) 等
該当しない例
事前発生的なもの(混雑による人混み、信号待ち 等)
該当する例に記載がない場合でも、
「特定の時間、特定の場所に数十人が集合してる場合には『多数の者の集合する催し』に該当する可能性がある」
とされています。
集合する者の人数や密度だけでなく、特定の場所日時に開催されるものか、主催者の意図も勘案して判断されます。
なお、屋内で催されるイベントについては航空法の適用はありません。つまり航空法の無人航空機飛行承認申請は不要です。航空法の適用はないといっても、ドローンによって人に危害を及ぼした場合は、他の法令での罰の対象になります。
よくお問い合わせをいただくことの一つに、「学校での人文字空撮はイベントなのか?」というものがあります。学校の門扉を閉め、外部から人が入らないようにして、生徒、先生など人文字を構成する人、撮影関係者のみでの空撮は、イベントには当たりません。
生徒、先生も含めて関係者だからです。
操縦者、補助者などの直接関与者以外に、「飛行目的についてドローンを飛行させる者との共通の認識を持っている」間接関与者も関係者です。
ただし、操縦者は、生徒、先生に対して安全上の注意を説明し、注意事項に従ってもらえると理解し確認するなどの必要があります。
イベント上空の飛行の審査の基準
既に述べましたとおり、包括申請ではなく、飛行場所及び日時を特定した個別申請で国土交通省の審査を受ける必要があります。
かつて、イベント上空の飛行は包括申請で取得できていたのですが、事故発生をきっかけに厳しい審査が行われることとなりました。
2017年11月に岐阜県大垣市で開催された「ロボフェスおおがき2017」で、上空からお菓子を撒いていたドローンが墜落した事故がきっかけです。
飛行場所及び日時を特定した個別申請は、「イベント上空の飛行」のほかは、「人口集中地区上空における夜間の目視外飛行」です。
2017年11月の国土交通省ウェブサイト「許可・承認手続きについて」の画面(抜粋)
2018年2月の国土交通省ウェブサイト「許可・承認手続きについて」の画面(抜粋)
飛行承認の審査基準
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)に記載されているイベント上空の飛行に関する審査の基準ついて説明します。
機体について
- 第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する機能を有すること
例
- プロペラガード
- 衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着
- 衝突防止センサー(正常に機能していること、センサーの有効性範囲や性能上の限界等の範囲内であること) 等
- 想定される運用により、10回以上の離陸及び着陸を含む3時間以上の飛行実績を有すること
イベントの場合は、原則としてプロペラガードを装備します。
操縦者について
- 意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
イベント上空の飛行承認に限らず、許可・承認の前提条件として、操縦者は10時間以上の飛行経歴や飛行に必要な知識・技能を有することが求められています。
安全を確保するために必要な体制について
- 飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認、適切な飛行経路を特定すること。
- 飛行経路全体を見渡せる位置に、ドローンの飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置、補助者はドローンを飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
- 飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。
- イベントの主催者等と予め調整を行い、次の立入禁止区画を設定すること。
飛行の高度 | 立入禁止区画 |
20m未満 | 飛行範囲外周から30m以内の範囲 |
20m以上~50m未満 | 飛行範囲外周から40m以内の範囲 |
50m以上~100m未満 | 飛行範囲外周から60m以内の範囲 |
100m以上~150m未満 | 飛行範囲外周から70m以内の範囲 |
150m以上 | 飛行範囲外周から落下距離以内の範囲 (70m未満の場合は70m) |
- 風速5m/s以上の場合には飛行を行わないこと。
- 飛行速度と風速の和が7m/s以上となる場合には、飛行を行わないこと。
イベントの場合は、基準を遵守した立入禁止区画の設定が必要です。申請で立入禁止区画を地図で示します。
なお、次に示すものについては、機体、安全を確保するために必要な体制(立入禁止区画、最大風速、飛行速度と風速の和)の基準が適用除外されます。
- 飛行範囲を制限する係留装置を装着している場合
- 危害を防止するネットを設置している場合(飛行範囲をネットで覆う、または第三者をネットで覆う)
- 製造者が落下距離を保証し、飛行範囲の外周から落下距離以内の範囲を立入禁止区画に設定している場合
申請に当たっての留意事項
イベント上空の飛行の場合に、申請で必要な情報として次のものが挙げられます。
- 地表等からの高度(立入禁止区画の審査に必要な情報です。)
- 催し名称
- 主催者名
- 調整結果(一般的には、イベント会場名・場所、開催日、主催責任者・連絡先を含めて調整済みである旨記載します。)
- 飛行日時(予備日も含め全ての日時を記載します。)
- 飛行の経路(イベント場所の異なる数か所の地点から離発着を行う場合は、それぞれの飛行範囲を入力します。)
離発着地点が複数ある場合は、一つの地図に全て作図することはできない仕様になっています。必要に応じて5つのボタンを使って追加していきます。
それでも足りない場合は、「Ⅵ.添付ファイルの追加」の欄に添付します。補足説明は「Ⅴ.その他特記事項」に記載します。
作図に当たっては、第三者位置、飛行範囲、立入禁止区画、補助者位置を明示して安全体制についての説明文も入れます。
イベントが夜間の目視外飛行の場合
イベントが夜間で、かつ目視外飛行であると、航空局標準マニュアル01に記載されている文言では承認は下りません。
「夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず~」
と記載されていますので、安全体制を確保できる体制を整備して修正追記のうえ申請する必要があります。次のものが例として挙げられます。
- 日中の事前確認
- 危機回避機能の作動
- 離発着場所の措置
- 補助者の体制や装備
万全を期した安全体制を独自マニュアルに記載することになります。
行政書士さいれんじ事務所はイベント上空の飛行承認申請を代行しています。
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