ドローンの飛行前の準備や確認事項についてご説明いたします。
このページは、航空法の条文、「飛行マニュアル」および「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」などに記載されている飛行前の準備や確認事項に関する内容を抽出したものです。
本内容は、国家資格である操縦者技能証明の受験対策を目的としておりません。ご参考になさっていただける内容を掲載しておりますが、国家資格を受験される方は、「無人航空機の飛行の安全に係る教則」および「無人航空機操縦士実地試験実施細則」などの資料にて、詳細をご確認ください。
飛行前に準備・確認すべき事項
ドローンの飛行では、飛行前の段階で必要な準備や確認事項を確実に実施することが、安全な飛行の第一歩となります。ここでは、規則等で示されている飛行前に確認すべき代表的な項目をまとめました。
以下が飛行前に準備および確認すべき事項です。
- 登録記号(JUxxxxxxx)の機体への表示
- 飛行計画の通報(特定飛行は義務、その他の飛行は推奨)
- 他の無人航空機の飛行計画の確認
- 飛行前点検・確認(マニュアル記載事項確認の実施)
- 飛行日誌(日常点検)に基づく飛行前点検(特定飛行は義務、その他の飛行は推奨)
- 遵守しなければならない事項(気象、経路、緊急用務空域指定の有無の確認、他の航空機、他の無人航空機の確認など)
- リモートIDの作動状況確認(搭載義務がある機体の場合)
携行するもの
飛行に際して、以下を携行する必要があります。特定飛行では義務です。
- 許可・承認書(紙か電子媒体、紙は原本か写し)
- 技能証明書(技能証明取得者)
- 飛行日誌(紙か電子媒体)
なお、特定飛行の許可申請で提出を省略した資料は、具備することになっております。当局から求められた場合には速やかに提示できることが必要です。
根拠となる航空法令等の規定
ご紹介した飛行前の準備や確認項目は、それぞれ航空法や飛行マニュアル、運用解釈などの規定を根拠としています。実際の運用では、それらの法的な根拠を理解しておくことで、より適切な判断や対応が可能になります。
以下では、各項目がどのような規定に基づいているかを、参考としてご紹介します。
また、いくつかの項目について、補足説明を加えております。
航空法および同法施行規則に規定されているもの
航空法
無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。
国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。
出典:航空法第132条の86から該当箇所を抜粋
(技能証明書の携帯義務)
出典:航空法第132条の54から該当部分の一部を抜粋
技能証明を受けた者は、特定飛行を行う場合には、技能証明書を携帯しなければならない。
航空法施行規則
無人航空機を飛行させる者が確認しなければならない事項は、次に掲げるものとする。
一 当該無人航空機の状況
二 当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況
三 当該飛行に必要な気象情報
四 燃料の搭載量又はバッテリーの残量
五 リモートID機能の作動状況2 無人航空機を飛行させる者は、当該無人航空機の外部点検及び作動点検を行わなければならない。
引用:航空法施行規則第236条の77 条文から抜粋および意訳しています。
飛行マニュアルに規定されているもの
特定飛行では、飛行マニュアルに従って飛行前の準備や確認を行うことが必要です。航空局標準マニュアルの場合の項目は以下のとおりです。
飛行計画の確認・通報をDIPS2.0で行う
- 他のドローンの飛行計画を確認
- 自社・自身のドローン飛行計画を通報
飛行前点検の実施
- 各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
- 発動機やモーターに異音はないか
- 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
- 燃料の搭載量又はバッテリーの充電量は十分か
- 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか
「遵守事項」記載項目の確認
- 気象、機体の状況、飛行経路が安全に飛行できる状態か否か
- 飛行させる場所が緊急用務空域に指定されていないことの確認
- 多数の人が集合する場所の上空になっていないか
- 航行中の航空機の確認
- 飛行中のドローンを確認した場合の当該ドローン操縦者との経路等調整
- DIPS2.0で他のドローンの飛行計画を確認(前述と同じ)
- DIPS2.0で自社・自身のドローン飛行計画を通報(前述と同じ)
- 飛行許可・承認書の原本または写し(電子データ可)の携行を確認
その他、飛行日誌を紙媒体か電子媒体で携行する必要があります。
(「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」3ページに記載があります。)
(補足)緊急用務空域の指定の確認
飛行前確認で見落としがちなこととして緊急用務空域の指定の確認があります。確認方法については以下のとおりです。
- 国土交通ウェブサイト「無人航空機の飛行ルール」(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html)で緊急用務空域に指定されている空域か否かを確認。URLをクリックすると国交省の当該サイトに遷移します。
- その他、「航空局無人航空機X(旧Twitter)」をフォローすると緊急用務空域の情報が入手できます。
その他、要領等で規定されているもの
無人航空機登録要領
「登録記号(JUxxxxxxx)の機体への表示」については、無人航空機登録要領で「航空の用に供する前に、無人航空機に物理的に表示しなければならない。」とされており、表示の位置や文字の大きさなども示されています。
無人航空機に係る規制の運用における解釈について
「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」には、航空法条文では詳細に触れていない実務・運用面の具体的な解釈が示されています。これまでにご紹介した確認事項の詳細を補足する内容があります。
(補足)運用解釈文書で示されている「飛行経路」および「気象」の確認の詳細
飛行に必要な準備が整っていることを確認した後の飛行
引用:「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」より。一部を抜粋の上、体裁を変更。
- 当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況を確認すること
具体的な例:
- 飛行経路に航空機や他の無人航空機が飛行していないことの確認
- 飛行経路の直下及びその周辺の落下分散範囲に第三者がいないことの確認
- 当該飛行に必要な気象情報を確認すること
具体的な例:
- 風速が運用限界の範囲内であることの確認
- 風速においては、離着陸場所の地上風及び飛行経路上の各高度帯における風向風速変動を確認すること
飛行前の準備や確認にかかる罰則
飛行前の準備や確認を行わなかった場合は、航空法の罰則に該当するおそれがあります。
該当するものを列挙いたします。
- 登録記号の表示又はリモートIDの搭載をせずに飛行させたとき・・・50万円以下の罰金
- 飛行前の確認をせずに飛行させたとき・・・50万円以下の罰金
- 飛行計画を通報せずに特定飛行を行ったとき・・・30万円以下の罰金
- 技能証明を携帯せずに特定飛行を行ったとき・・・10万円以下の罰金
- 飛行日誌を備えずに特定飛行を行ったとき・・・10万円以下の罰金
航空法以外のドローン飛行規制に関わる法令の遵守
航空法や関連規定の他にも注意が必要です。
飛行させようとする場所によっては、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」、「国有林野の管理経営に関する法律」、「港則法」および「海上交通安全法」などもドローン飛行に関わる規制に該当する場合があります。
個々の準備・確認事項について詳しく解説したページもあります。以下をクリックしてご覧ください。
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