ドローン飛行国家資格 技能証明の取消等の処分 - 行政書士さいれんじ事務所
「無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準」制定(案)のパブコメ(意見公募)
国土交通省は、ドローン操縦者の技能証明の効力取消等の処分の基準を定める通達案をパブリック・コメントとしてe-govサイトに掲載しました。
そして、意見公募期間は2023年8月5日(土)まで、公布・施行は2023年8月中旬以降の予定となっています。
この案によると、行政処分・行政指導内容及び判断の仕組みの概要は次のとおりです。
1.処分事由に対応する点数を基本にして、以下の指導または処分
- 口頭注意
- 文書警告
- 技能証明効力停止3月
- 同 6月
- 同 1年
- 技能証明効力取消
2.複数の処分事由に該当する場合 … 対応する点数を合計
3.個別事情がある場合 … 点数を加重または軽減
4.第三者の死亡、重症または複数の第三者の負傷の結果が生じた場合 … 点数に関わらず取消または停止処分ができる。
基準となる処分事由ごとの点数は次のとおりです。
処分事由 | 点数 | |
1 | 事故が発生した場合に危険防止措置を講じない | 15 |
2 | アルコール・薬物の影響下での飛行 | 15 |
3 | 機体認証において指定された使用の条件の範囲を超えた特定飛行 | 15 |
4 | 飛行計画の変更指示に従わない飛行 | 15 |
5 | 限定をされた技能証明を受けた者による限定外の種類・方法での特定飛行 | 14 |
6 | 条件付きの技能証明を受けた者による条件の範囲外での特定飛行 | 14 |
7 | 飛行禁止空域での飛行等 | 14 |
8 | 飛行前確認・衝突予防措置を行わないこと | 14 |
9 | 他人に迷惑を及ぼすような方法での公共の場所の上空での飛行 | 14 |
10 | 夜間・目視外・30m未満・催し上空飛行 | 14 |
11 | 危険物輸送 | 14 |
12 | 物件投下 | 14 |
13 | 飛行の方法について承認外での飛行 | 14 |
14 | 夜間・目視外・30m未満飛行において安全確保措置を講じないこと | 14 |
15 | 飛行計画を通報しない特定飛行 | 14 |
16 | 整備命令に違反した特定飛行 | 13 |
17 | 無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為 | 12 |
18 | 機体登録を受けていない機体の供用 | 8 |
19 | 登録無人航空機の是正命令に違反した機体の供用 | 8 |
20 | 航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を事前に通報しない又は虚偽の通報を行うこと | 7 |
21 | 事故発生時の報告をしない又は虚偽の報告を行うこと | 6 |
22 | 特定飛行を行う場合に飛行日誌を備えないこと | 6 |
23 | 特定飛行について飛行日誌の不記載・虚偽記載 | 6 |
24 | 立入検査の拒否等 | 6 |
25 | 特定飛行時に第三者が立ち入った場合に必要な措置を講じないこと | 3 |
26 | 登録記号の表示されていない登録無人航空機の供用 | 1 |
27 | 機体認証を受けずに法第132条の13第8項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと | 1 |
28 | 型式認証を受けずに法第132条の19第2項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと | 1 |
29 | 技能証明書不携帯での特定飛行 | 1 |
30 | 登録事項の変更の届出を行わない又は虚偽の届出を行うこと | 1 |
31 | 登録の抹消申請を行わないこと | 1 |
32 | 飛行に当たり非行又は重大な過失があったとき | 1~10 |
点数に基づく処分等の区分は以下のとおりです。
点数 | 処分等区分表 |
1~2 | 口頭注意 |
3~5 | 文書警告 |
6~8 | 技能証明の効力の停止3月 |
9~11 | 技能証明の効力の停止6月 |
12~14 | 技能証明の効力の停止1年 |
15~ | 技能証明の効力の取消 |
当事務所の感想に過ぎない話ですが、これでは航空法に基づく罰則の量刑とは軽重の傾向が異なるように感じました。そして、それはどのような論拠に基づくものなのか関心を持ちます。
例えば、「特定飛行時に第三者が立ち入った場合の措置」や「登録記号の表示」の罰則は重く50万円以下の罰金であるものの、行政処分では3点や1点と軽いものです。他方、「飛行計画の変更指示に従わない飛行」の罰金は30万円以下の罰金で、懲役刑や50万円以下の罰金が他にいくつもあるところ、この行政処分では15点と最大の点数となる4つの処分事由の中の1つに入っています。
また、「無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」を13点としています。この行為は、ドローンの飛行に影響を及ぼすおそれのある花火の打上げその他の行為で地上又は水上の人又は物件の安全を損なう行為、つまりドローンの技能証明を有する操縦者以外が起こす行為が専らではないのかと思いますが、これに対しての行政処分とは取消や停止以外で具体的に何を行うのかよく分かりません。
参考まで、点数と罰則を併記してみます。
処分事由 | 点数 | 罰則 | |
1 | 事故が発生した場合に危険防止措置を講じない | 15 | 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
2 | アルコール・薬物の影響下での飛行 | 15 | 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
3 | 機体認証において指定された使用の条件の範囲を超えた特定飛行 | 15 | 50万円以下の罰金 |
4 | 飛行計画の変更指示に従わない飛行 | 15 | 30万円以下の罰金 |
5 | 限定をされた技能証明を受けた者による限定外の種類・方法での特定飛行 | 14 | 50万円以下の罰金 |
6 | 条件付きの技能証明を受けた者による条件の範囲外での特定飛行 | 14 | 50万円以下の罰金 |
7 | 飛行禁止空域での飛行等 | 14 | 50万円以下の罰金 |
8 | 飛行前確認・衝突予防措置を行わないこと | 14 | 50万円以下の罰金 |
9 | 他人に迷惑を及ぼすような方法での公共の場所の上空での飛行 | 14 | 50万円以下の罰金 |
10 | 夜間・目視外・30m未満・催し上空飛行 | 14 | 50万円以下の罰金 |
11 | 危険物輸送 | 14 | 50万円以下の罰金 |
12 | 物件投下 | 14 | 50万円以下の罰金 |
13 | 飛行の方法について承認外での飛行 | 14 | 50万円以下の罰金 |
14 | 夜間・目視外・30m未満飛行において安全確保措置を講じないこと | 14 | 50万円以下の罰金 |
15 | 飛行計画を通報しない特定飛行 | 14 | 30万円以下の罰金 |
16 | 整備命令に違反した特定飛行 | 13 | 50万円以下の罰金 |
17 | 無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為 | 12 | 30万円以下の罰金 |
18 | 機体登録を受けていない機体の供用 | 8 | 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
19 | 登録無人航空機の是正命令に違反した機体の供用 | 8 | 50万円以下の罰金 |
20 | 航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を事前に通報しない又は虚偽の通報を行うこと | 7 | 30万円以下の過料 |
21 | 事故発生時の報告をしない又は虚偽の報告を行うこと | 6 | 30万円以下の罰金 |
22 | 特定飛行を行う場合に飛行日誌を備えないこと | 6 | 10万円以下の罰金 |
23 | 特定飛行について飛行日誌の不記載・虚偽記載 | 6 | 10万円以下の罰金 |
24 | 立入検査の拒否等 | 6 | 100万円以下の罰金 |
25 | 特定飛行時に第三者が立ち入った場合に必要な措置を講じないこと | 3 | 50万円以下の罰金 |
26 | 登録記号の表示されていない登録無人航空機の供用 | 1 | 50万円以下の罰金 |
27 | 機体認証を受けずに法第132条の13第8項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと | 1 | 30万円以下の罰金 |
28 | 型式認証を受けずに法第132条の19第2項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと | 1 | 30万円以下の罰金 |
29 | 技能証明書不携帯での特定飛行 | 1 | 10万円以下の罰金 |
30 | 登録事項の変更の届出を行わない又は虚偽の届出を行うこと | 1 | 30万円以下の過料 |
31 | 登録の抹消申請を行わないこと | 1 | 30万円以下の過料 |
32 | 飛行に当たり非行又は重大な過失があったとき | 1~10 | ー |
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